神奈川県公立文化施設協議会との共催となった今回の講座では、消防法と火災予防条例の基本を学びなおしました。
講師は横浜市消防局中消防署総務・予防課予防係消防司令補の黒田幸司氏です。講座の資料には横浜市の火災予防条例を使いました。条例なので自治体によって若干の違いはありますが、国が定めた消防法の下にあるので大きな差異はありません。横浜以外の市町村からの参加者にも役に立つ内容となりました。
最初の話しは施設運営に必要な法令の理解です。条例における劇場の定義に始まり、座席増設時の決まり、私たちが禁止行為解除と呼ぶ「火」や「煙」関係の話しと、日々の業務に直結する話が続きます。意外だったのは、表面温度が400度を超えない物は「火」として扱われないということです。質疑応答で参加者の「邦楽の楽器の皮を温めるため舞台上で電気コンロを使いたいという希望があるが、申請は必要なのか」という質問への答えでした。
続いて安全対策の話しです。劇場における火事や地震への備え、消火器だけではなく消火栓を使った訓練の必要性が語られました。確かに消火器を使う訓練は定期的に行いますが、現実的には、消火器で対応できる炎は腰の高さまでです。それ以上になると消火栓から放水しないと効果がありません。今後の防災訓練の必須科目が増えました。他にもスプリンクラーは止め方を知っておかないと水害を招くことも指摘されました。
防災は日々の注意と点検の積み重ねです。「当たり前のことを」「バカにせず」「ちゃんとやる」姿勢こそが重要で、それぞれの頭文字をとってABCと横浜市の消防では呼んでいるそうです。
新年から大きな地震が発生し、南海トラフを発端とする地震もいつ発生するか分からないのが、今の日本です。今回学んだABCをおろそかにせず、安全な運営に繋げたいと思いました。